
「今回も悪くはない。でも、また80点台だった」
定期テストの答案を見て、そう感じたことはありませんか。
82点、85点、88点。低い点数ではありません。学校のワークをこなし、提出物も出し、テスト前には机に向かっている。それでも90点の壁を越えられない。テストのたびに「計算ミスした」「時間が足りなかった」という報告を聞き、「次は気をつけよう」で終わってしまう。
この状態が続いているとき、勉強時間を増やしても点数はあまり変わらないことが多いです。原因が勉強不足ではないからです。
一口にミスといっても、中身はさまざまです。知識があいまいだったのか。問題文の条件を読み落としたのか。記述に必要な言葉が足りなかったのか。一つの問題に時間を使いすぎたのか。原因が違えば、次のテストに向けて変えるべきことも違います。問題文の読み違いで点を落としている生徒が計算問題を何十問増やしても、読み違いは減りません。
90点への近道は、今の勉強に何かを足すことより、答案の中で失った15点の中身を知ることです。この記事では、80点台の中学生に多い5つの失点パターンと、それぞれの見直し方を紹介します。前回の答案を思い浮かべながら読んでみてください。
まずは答案を「点数」ではなく「失点」で見る
同じ85点でも、中身はまったく違う
テストが返ってくると、最初に目が行くのは点数です。前回より上がった、下がった、あと2点で90点だった。ただ、80点台からもう一段上を目指すなら、見るべきは残りの15点の中身です。
たとえば同じ85点でも、応用問題まで正解しているのに計算ミスと符号ミスで15点落としている生徒もいれば、基本問題はほぼ正解で、記述と応用でまとめて15点落としている生徒もいます。後半までたどり着けず、空欄のまま15点残している生徒もいます。
この3人が次のテストまでにやるべきことは同じではありません。1人目はミスが出る場面の特定と見直し方法。2人目は記述と応用の練習。3人目は解く順番と時間配分の見直しです。この違いを見ないまま「ワークをもう一周しよう」と進んでも、本当の弱点には届きません。
間違えた問題を5種類に分ける
答案が返ってきたら、間違えた問題を原因ごとに分けてみてください。大きく分けると次の5種類です。
- 知識不足(用語・公式・英単語を覚えていなかった)
- 読み取り・条件確認(「二つ選びなさい」を一つしか選んでいない、条件の見落とし)
- 記述・表現不足(方向は合っているが、採点に必要な言葉が足りない)
- 時間配分(後半が駆け足になった、解けるはずの問題に手が回らなかった)
- 繰り返しているミス(符号、単位、スペル、写し間違い)
赤ペンで正しい答えを書き写すだけの直しでは、この区別がつきません。間違えた問題の横に「なぜ落としたか」を一言メモするだけで、次にやるべき勉強がかなり見えてきます。
80点台で止まる「5つの失点パターン」
パターン1 分かっていたのに「必要な言葉」が足りない
理科・社会の記述問題、国語の説明問題、英作文で起こりやすい失点です。仕組みは理解していて方向も合っているのに、採点に必要な言葉が一つ抜けて満点にならない。
この場合、「もっと理科を勉強する」では改善しにくいです。必要なのは、自分の答案と模範解答を並べて、どの言葉が足りなかったか、どこまで書けば得点になったかを確認することです。模範解答を写して終わりにすると、次のテストでも同じ形の減点を受けます。
90点台では、知識を持っていることに加えて、採点される形で答案に出す力が問われます。
パターン2 問題文の条件を一つ見落としている
「すべて選びなさい」「最も適切なものを一つ」「○字以内で」。問題自体は解けるのに、条件の読み落としで失点するケースです。数学なら、問題文の数値を一つ読み飛ばすだけで式全体が変わります。
このタイプの失点を「次は落ち着いて読もう」で終わらせるのはおすすめしません。「落ち着く」は、本番で具体的に何をすればよいのか分からない言葉だからです。条件を表す言葉に丸をつける。数字に下線を引く。答え方の指定を確認してから解き始める。注意力に頼らず、読み方の手順を決めることが対策になります。
パターン3 基本問題は解けるのに、形が変わると止まる
学校ワークでは解けるのに、テストで見た目が少し変わると手が止まる。原因の多くは、解き方を覚えているだけで「なぜその解き方を使うのか」まで理解できていないことです。
同じ問題の反復だけでは、ここは埋まりません。「この問題では、なぜこの式を立てるのか」を自分の言葉で説明してみる。少し条件の違う問題に挑戦してみる。理科なら資料やグラフから判断する問題、社会なら出来事のつながりを問う問題にも触れておく。90点台に近づくほど、覚えた知識を使い分けられるかどうかが差になります。
パターン4 難問ではなく「時間の使い方」で落としている
「時間が足りなかった」の原因は、難しい問題が解けなかったことだけとは限りません。前半の一問に時間をかけすぎた。分からない問題を飛ばせなかった。最後のページに着いたときには残り数分だった。実力はあるのに、時間の使い方で点を落としている状態です。
テストは最初から順番に完璧に解く必要はありません。解ける問題を先に確実に取り、迷う問題は印をつけて後回しにする。それだけで取りこぼしが減ることがあります。テスト勉強の段階でも時間を測って解く練習を入れておくと、本番との差が小さくなります。
パターン5 「ケアレスミス」という言葉で終わらせている
数学で5点落としたとき、一問は符号ミス、一問は途中式を省略したための計算間違い、一問は数字の読み違い、ということがあります。これを全部まとめて「ケアレスミス」と呼ぶと、対策も「次は注意する」だけになってしまいます。
分ければ対策は変わります。符号ミスが続くなら、途中式の書き方を変える。読み違いが多いなら、式を立てる前に数値を確認する手順を入れる。英語のスペルミスなら、間違えやすい単語だけを集めて再テストする。
同じ種類のミスが2回、3回続くなら、それは偶然ではありません。解く手順のどこかに、変えられる部分があります。ミスを減らす鍵は、頑張って注意することより、自分が何を間違えやすいかを知っていることです。
学校ワークは「何周したか」より「間違いが消えたか」
3周しても点数が伸びないとき、起きていること
「学校ワークを3周する」は定番のテスト対策ですが、周回数だけを目標にすると点数につながらないことがあります。1周目で間違えた問題を、2周目は答えを覚えていたから正解できた。解説を読んで「分かった」と思った問題が、数日後には解けない。逆に、最初から迷わず解ける問題を3回も4回も繰り返している。
確認すべきは周回数より、最初にできなかった問題が今は自力でできるようになったかどうかです。
「できない問題リスト」を小さくしていく
ワークを解くときは、「できた」「迷った」「できなかった」の3つに分けて印をつけてみてください。迷った問題と偶然当たった問題は「できた」に入れません。
印のついた問題だけを数日後に解き直します。最初20問あったリストが12問になり、7問になり、テスト前には3問になる。ワーク全体を頭からやり直すより、弱点に時間を集中できます。
「解き直した」ではなく「数日後も解ける」で確認する
間違えた問題をその日のうちに解き直して正解できても、解説を読んだ直後は解けて当然です。本当に身についたかどうかは、翌日、3日後、1週間後に自力で解けるかで確認します。暗記科目も同じで、覚えた日の夜に言えたかより、数日後にテスト形式で出されて答えられるかを見ます。「勉強したのに本番で出てこなかった」という失点は、ここで減らせます。
勉強時間を増やす前に「次の一手」を変える
失点原因ごとに復習のやり方を変える
知識不足なら、覚え直して再テストする。読み違いなら、問題文の読み方の手順を変える。記述不足なら、模範解答と自分の答案を比べる。時間不足なら、時間を測って演習する。ミスなら、ミスが起きた手順を特定する。
症状によって処方が変わるのと同じで、失点原因によって次にやることは変わります。問題集や勉強時間を増やす前に、「今回の失点に対して何を変えるか」を決めることが先です。
見直しポイントをあらかじめ決めておく
テスト本番の「見直し」は、何を見るか決めていないと、答案を眺めるだけで終わりがちです。数学なら符号・途中式・単位、英語なら三単現のsとスペル、というように、自分が過去に落としたポイントを2〜3個決めておき、最後の数分でそこだけ確認します。前回までの答案があるからこそ、自分専用の見直し項目が作れます。
次のテスト勉強は、前回の答案が返った日から始まる
テスト2週間前になってからワークを開くのではなく、前回の答案が返ってきた日に、「何を間違えたか」「なぜか」「次は何を変えるか」の3つだけ決めておきます。毎日の勉強時間を増やす必要はありません。前回の弱点を次回まで持ち越さないこと。その積み重ねが、80点台と90点台の距離を縮めます。
s-Liveきょうと山科校では、答案から「次に変えること」を探します
答案と学校ワークの両方を見る
当校では、テスト後に答案そのものを確認しています。点数のほかに、どの種類の問題で失点したか、途中式や記述の書き方、空欄の位置、読み違いの形跡、後半に失点が集中していないか、といった点です。
あわせて、テスト前の学校ワークの使い方も見ます。答案でつまずいた問題と、ワークでの取り組み方を照らし合わせると、「勉強したのに取れなかった理由」が見つかることがあります。ワークをしっかり解いていたのに応用で失点しているなら、反復に加えて考え方を使う練習が必要かもしれません。ワークでは正解できているのにテストで計算ミスが多いなら、時間を意識した演習が足りていない可能性があります。
こうした答案の確認は、講師任せにせず、すべて塾長が行っています。初回の面談時だけでなく、毎回のテスト返却後にも答案を確認し、必要があれば面談の場を設けて、次のテストまでに変えることを生徒と一緒に決めています。
一人ひとり違う「あと数点」の取り方を決める
80点台から90点台への道筋は、生徒ごとに違います。数学の応用を増やすべき生徒もいれば、英作文の精度を上げるべき生徒もいます。その前に、毎回落としている基本問題を確実に取るべき生徒もいます。当校が個別指導の形をとっているのは、この「次に減らす失点」が一人ひとり違うからです。
実際の授業でも、失点原因に合わせて演習の形を変えています。間違えやすい問題があれば、同じ問題の解き直しに加えて、類題や別のアプローチでの演習を重ねます。間違えた問題にはチェックを入れ、時間を空けて解き直し、自力でクリアできるまで続けます。理解があいまいな単元では、塾長や講師が生徒役になり、生徒に先生役として自分の言葉で説明してもらうこともあります。人に説明できるかどうかで、「分かったつもり」の問題が見つかるからです。
点数が変わる前に、テスト後の行動が変わります
成績が上がる生徒は、点数より先に行動が変わります。「ここ、ミスした」で終わっていた生徒が、「条件を一つ読み落としていた」と原因まで言うようになる。答えを書き写して終わっていた生徒が、数日後に解き直すようになる。「ここまでは分かるけれど、この先が分からない」と、質問が具体的になる。
こうした変化は点数表にすぐは表れませんが、テスト勉強の中身を確実に変えていきます。
当校の生徒では、直近の定期テストで安祥寺中1年441点、花山中3年416点、安祥寺中3年415点、花山中1年401点(いずれも5教科合計)という結果が出ています。
失点の中身を見る勉強は、90点台に乗った後も同じように通用します。当校では、数学92点だった花山中3年のYさんが、次のテストで100点を取った例があります。やったことはシンプルで、答案から本人がケアレスミスをしやすいポイントを拾い出し、そこだけを徹底して対策しました。新しい教材を増やしたわけでも、勉強時間を大幅に伸ばしたわけでもありません。
「あと数点」を次のテストまで持ち越さないために
80点台は、焦る成績ではありません。基礎ができている今だからこそ、細かな失点に目を向ける価値があります。あと5点の差は、勉強時間の差とは限りません。記述の一言、問題文の読み方、見直しの順番、ワークの解き直し方。小さな改善の積み重ねが、90点台につながります。
この記事を読み終えたら、前回の答案をもう一度開いてみてください。見るのは点数ではなく、失った15点の中身です。知らなかったのか、読み違えたのか、言葉が足りなかったのか、時間が足りなかったのか、同じミスを繰り返しているのか。「次回なら取り戻せそうな点」がいくつあるかを数えてみてください。
答案を見ても原因が分からないときは、学習相談で一緒に整理できます。相談は無料で、時間は1時間半から2時間ほどいただいています。じっくりお話ししながら、現在の問題点や課題を明らかにし、それを解消するための学習プランを立てるためです。その際は、直近の定期テストの答案と、普段お使いの学校ワークをお持ちください。
学習相談には、必ずお子さま本人にも同席してもらっています。塾に通うのは本人だからです。お話ししたうえで、当校が合うかどうかを納得して選んでいただければと思います。その場でご入塾を決めていただく必要はありませんし、合わないと感じられた場合に無理な引き留めもいたしません。
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