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2. これからの時代、“理系か文系か”では遅れてしまうAI時代に必要な学び方——それは「
分野横断型」の学びです。
これは、
理系・文系・芸術といった区分を越えた、横断的で構造的な知性の養成を意味します。
日本の教育は長年、「理系/文系」という枠組みによって分断されてきました。
就職も、
文系なら営業、
理系なら技術といったふうに選択肢が固定されてきました。
その結果、
異なる視点の交流が乏しくなり
新しい価値や建設的な議論が生まれにくい社会構造が形成されてしまいました。
また、受験戦争の影響で、「
数学だけが得意な人」「
英語だけが得意な人」など、特定教科に偏った
“
尖った才能”ばかりが評価されるようにもなりました。
こうした教科間の優劣づけは、「
古文は理系には不要」などという短絡的な学習観を生み、学びの豊かさを削いでしまいます。
しかしこれからの時代に求められるのは、
複数の分野をつなぎ、バランスよく物事を考える力です。
たとえば、「
九九や英語はAIに任せればいい」という考えに対し、
「
では九九は英語でどう表現する? 他国ではどう学ばれている? なぜ九九は生まれた?」と問いを広げ、文化や歴史、言語との接点を見出せるかどうか。
あるいは、
数学で学んだ構造を、音楽や美術に応用できるかどうか。
1つの科目を学びながら、他分野とのつながりを見出し、
汎化・転用できる柔軟な知性こそが、新時代に求められる力なのです。